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Topics 新任教授の紹介や季節の行事、お知らせなど東北大学大学院医学系研究科のニュースをまとめています。随時更新。

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2013.11.01

大志を持てば夢は叶う

赤池孝章教授東北大学大学院医学系研究科 環境保健医学分野
>研究室HP

4月1日に着任された赤池孝章教授をご紹介します。トップ画像re

ご専門分野、ご研究の内容を、簡単でかまいませんので教えていただけますか?

 微生物学、その中でも活性酸素を使う感染防御の研究をしてきました。宿主の我々の身体は菌を殺すために活性酸素を作るのですが、標的を選ぶだけの特異性がないので、病原体を排除すると共に自分もやられてしまうんですね。それは、酸化ストレスと呼ばれるのですが、その酸化ストレスを制御することが理想的な感染症治療につながるのではないか、という信念で研究してきました。
 その研究は、大学院時代からずっと。そうですね、四半世紀ぐらいですか、続けています。ちょっと珍しいかもしれませんね、1つの研究をここまで続けてやっているというのは。
 ここ数年間は、活性酸素に対して生体がどういう応答を示すかという「シグナル伝達のメカニズムの解明」がテーマになってきています。活性酸素の毒性、酸化ストレスに対する生体のシグナル応答と制御メカニズムを明らかにしたいと思っています。酸化ストレスというのは、ある意味自家中毒症なんですね。自分で防御的に作ったものが過剰に損傷を与えて毒性を発揮するということですから。
 もともとは微生物学・感染症の研究からスタートしましたが、病気の分子メカニズムを明らかにするために、病態生化学とか、酸化ストレス研究に発展したわけです。さらに、毒性学というか中毒学的な研究にも取り組むようになりました。

先生にとって、医学研究の魅力とは何ですか?

 僕は医者もやっていましたけど、もともと研究が好きで理学生物学系の世界に進みたかったんですよ。だから、大学院で基礎研究をするのが楽しくて、最初から一生懸命勉強していたんです。
 そんなある日、「インフルエンザウイルスの肺炎モデルに抗酸化物質を投与すると肺炎病態が改善する」という研究データを得ることに成功しました。今から考えても、ほんとに運が良かったのだと思います。それをSCIENCEに出したら採択されました。大学院1~2年の頃のことです。それはもう、ものすごく興奮しましたね。
やはり毎日とは言わないまでも新しい発見が無いとわくわくしないでしょ。この歳になっても、何か見つけた時は子どもみたいにはしゃぎますよ。
僕は、どんな小さな発見でも常に自分が世界で1番になってやろう、みんながやってないことをやってやろうと思いながら、楽しみながら研究しています。運よくいろんなことに巡り合っていろんな発見ができたのですが、そんな時に研究って素晴らしいと、よく思います。
 それに、医学研究は、研究のための研究じゃないんですね。病気の治療につないでいける研究というのが、もうひとつの大きな魅力だと思います。どんな病気でも酸化ストレスがかかわっているので、僕らのこういう酸化ストレス研究を、なんとか現役のうちにベッドサイドにつなげたいですね。

ご趣味や特技は、何ですか?

 あえていうと、絵画鑑賞や旅行でしょうか。出張先で余裕があるときは美術館に寄ったりします。前任地が熊本でしたから、東北方面には学会など以外では殆ど来ていません。今まであまり行けなかった所を訪ねてみたいですね。
 特技は、特に無いですね。中学生まではバイオリン教室に通ったり、小学校から大学までは競泳をやっていたのですが、それっきりです。音楽はまったくものになりませんでしたが、水泳は中学時代は体育系の学校に進もうと思っていたくらい熱中していました。

座右の銘は、ありますか? もしくは、好きな言葉は何ですか?

 1つは「愚直の一念」。これは渡辺淳一が「公園通りの午後」という短編集の中で、東大内科の呉建教授について語った言葉です。彼は、当時の指導教授から、「心臓」とだけ言われて研究テーマを与えられたのですが、当時心臓の研究は迷路とされていて、周りからも「そんな出口の見えない研究をやってどうするんだ」と言われ続けていた時代です。それでも呉教授はひたすら心臓の研究に取り組み、10数年後に大きな成果を上げることが出来たんです。この実話を渡辺淳一が「愚直の一念」という言葉で紹介していました。僕もかつて、大学の先輩に活性酸素とか特異性のない物質の研究なんてやめた方が良いと言われたことがあります。それでも、めげずに活性酸素の研究をやっていますから、好きな言葉ですね。重なりますよね。
 もう1つは、デュボスという細菌学者が言った「Think globally, act locally」という言葉です。
彼は、人生の後半を環境保全活動にかなり費やしたんですけどね、環境保全運動というのは地球全体のことを考えて、身近な地域で行動しなさい、ということを意味しているのですが、僕ら研究者にとっても非常に重要なメッセージなんです。殆どの基礎研究はact locallyにやるしかない。隔絶した世界なんですよ、研究者の世界っていうのは。でも、いつも世界のことを考えて、世界中の研究者とコミュニケーションをもって、そういう言葉を常に肝に銘じてやっていますね。

教授に就任された抱負、これからの夢を教えてください。

 今までの研究者としての成果もあれば教育者としてのキャリアもあるわけなので、それをあと10年ちょっとの任期の中で、どうやって東北大学の発展に生かせるか、というのが僕のテーマです。
 活性酸素の研究がようやく出口的なところが見え始めたので、是非ベッドサイドに持って行きたいなと思います。それが僕の医者になった時からの夢だったので。
基礎研究をこちらで臨床応用に展開できればこれ以上の喜びはないと思いますね。
 こちらでは環境保健医学分野ということなので、これまで続けてきた中毒学的な研究を活かして、私なりの衛生学というものを医学部の学生さんたちに教授できればいいなと思っています。
僕の研究スタイルのように、じっくり腰をすえて、楽しく取り組んでいくつもりです。

ありがとうございました。

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